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ハンバーガー業界に見る外食産業の厳しい戦い

少し前までは、大赤字で大量の店舗閉鎖が進み負のオーラに包まれていた日本マクドナルドですが、気がつけば黒字転換で都内では行列すら見かけるようになりました。

マクドナルドといえば、20年くらい前にはハンバーガーを60円で投げ売りしていた記憶があり、安い速いというイメージが強く定着していましたが、近年は注文を受けてから作るようになったり、1000円もするようなハンバーガーに挑戦したりと、最大手でありながら時代に即した施策を次々と打ちだしている印象があります。しかし、それと同時に根本から変化し続けている状態なのでファストフードとして方向性が安定しているとは言えない状況でもあります。

2番手のモスバーガーやフレッシュネスは、代わり映えする事もなく、以前ほどの勢いは無いため店舗数が増えているようにも見えません。

実際調べてみると、モスバーガーは国内は継続的に店舗閉鎖が行われていますし、フレッシュネスは店舗検索では現在170店舗出てきますが、2013年に170店舗達成と書かれているので一進一退の横ばいなのでしょうか。頻繁に身売りされているので業績好調では無さそうです。
(株)フレッシュネス|企業情報
店舗数の推移 | 財務・実績 | モスフードサービス企業サイト

ハンバーガー業界の変化

この10年ほどで、ハンバーガーひとつが1000円を越すような高価格帯かつ、内装に凝ったローカル店が増えてきました。

外食業界全体でチェーン店よりも個人店が好まれる様な傾向も出てきたことも、そういった店が増えた大きな要因になっていると思いますが、大手チェーン店は高級路線を求める客層が個人店に流れたことで、客単価の低下に繋がってしまい、苦戦を強いられていると考えられます。

更には最低賃金の底上げやインフレによって固定費が上がり経費はかさむ一方なので不採算店舗を閉鎖する事になりますが、結果的に大手としてのブランド力の低下にも繋がりかねないわけです。 そんな状況下で勝っているライバルもいない為、業界総低迷といった状況です。

なにより一番辛いのはターゲットである若年層の人口減が激しく、売る相手すら居なくなってきている事です。

不可抗力

外食産業が最も影響を受けるのは、トレンドの変化です。

最近では、年々強まる健康志向やカフェ風、インスタ映えといった雰囲気や見た目の流行も次々と変わり、それらを取り入れた新規店が続々と立ち上がっては既存店の客を奪っていきます。 トレンドが大きく変化する時期には、安定的な人気を誇る大手チェーンも業績悪化は避けられない場合があります。

しかし、流行り過ぎると飽きられやすくなる諸刃の剣もあります。

人気が出ると直ぐにでも洗練されたライバルが現れてお客をさらおうとします。負ければあっという間に下降線を辿る事になるため、勝っても負けても傷だらけです。 安定感のあるチェーン店は体力があるため短期決戦では生き残りやすいというのが大きな強みです。

最近ではペッパーフードの いきなり!ステーキ が流行り一気に店舗数が拡大し、株価も鰻登りでした。

しかし、これから洗練された後発店や、個人店が増え始めたり海外のステーキチェーンが上陸するなどしてあっという間にライバルに囲まれ、ハンバーガー業界と同じような道を辿るのではないかと思います。

外食セクター

産業として見た場合は以下の特徴があります。

  • 参入障壁が低い

  • 流行の影響を受けやすい

  • 海外展開が困難

流行に影響を受けやすいため一気に拡大するチャンスこそありますが、人気を継続させる事が難しく、文化的な壁があるため国内以上の規模で海外に展開する事はとても難しいのではないでしょうか。

そして国内の人口増減や景気動向の影響をモロに受けてしまうので、不安定要素の塊に感じられます。

それでも、もし飲食を投資先として考える場合、飲食でありながら食のトレンドの影響を受けにくい銘柄である事が望ましいです。

結局は一つの国の流行に左右されない世界展開済みの企業を選ぶことが安全策であり、米マクドナルドやスターバックスといった規模になるまでは手を出すべきではなさそうです。