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この先PayPayは生き残るのか

PayPayの100億円あげちゃうキャンペーンは終わりましたが、一気に認知度が上がったスマホQRコード決済について考えてみました。

中国国内では普及率がほぼ100%のQR決済ですが何がメリットなのでしょうか。

中国ではなぜクレカよりQRコードなのか?

まずは偽札の流通などで現金への信頼度が高くないという前提があるようですが、クレジットカードと比べてQR決済が普及した理由については、導入者と利用者に相互メリットがあったからです。

まず日本においてはクレカを導入しない理由の1位は手数料が高いらしいですが、手数料に関しては恐らく中国でも同様の理由が上位に有ることは間違いありまん。

news.cardmics.com

中国ではAlipayやWeChatPayといったQR決済サービスが圧倒的シェアのようですが、Alipayでは受取額が少額なら手数料がゼロという仕組みのようです。 先に挙げたように中国では偽札不安があるため、出来れば現金を使いたくないと考える人が多いはずです。

そこで無料の範囲内で利用できる小規模な個人店や個人間のやりとりで普及し始めたのではないでしょうか。 手数料がネックになってカード決済を敬遠してきた層を取り込んだ事でQR決済の普及率が上がったというのは自然な流れのようにみえます。

また、QR決済用口座の残高に年利がつくシステムにすることで、頻繁に利用するユーザにとってはわざわざ引き出すメリットもなく、実質銀行のように使用している人たちも多いのではと推測できます。

日本への導入について

キャッシュレスが便利である以上、手数料などの導入障壁がなければ普及していくのは当然の事だと考えれますが、現在日本で展開されているサービスが流行るのかについては気になる点があります。

まず1つ目はセキュリティ問題です。

下記はPayPayの利用規約の一部(第6条 (免責事項)の4)ですが 、盗難や不正利用については利用者側に課す責任がカードより厳しいという印象を受けました。

  1. 利用者は、利用端末の紛失、盗難に備え、あらかじめ遠隔操作による利用端末のロック、利用端末のデータの消去など利用端末が提供する遠隔操作による利用端末を利用させないための措置(以下「利用端末のロック等」といいます。)に必要な設定を行うものとします。利用者は、利用端末の紛失、盗難その他利用端末が不正に利用される可能性が生じた場合、直ちに、当社にその旨を連絡するとともに、本サービスを第三者に利用されないための措置として、利用端末のロック等および当社が PayPayのウェブサイトに公表する措置をとるものとします。携帯電話事業者への連絡および通信回線の利用停止を行うだけでは本サービスの第三者による利用を防ぐことができませんので、利用者は、必ず本項に従った対応を行ってください。また、利用者がこれらに反することに起因し生じた損害は、利用者の負担とし、当社は、その責任を負わないものとします。

(太字部分は私がマーキングしています)

PayPayについては遠隔操作によるロックやデータ削除の設定を利用者に課しており、スマホ製造メーカーや通信事業者の機能やプランに強く依存する規約になっています。

クレジットカードの場合は、事前にカードの裏面に署名しておく事で有事の際は警察やカード会社への連絡をしっかり行う事により損害が発生しような仕組みが整備されおり、非常にシンプルで誰でも実践できるルールになっています。

また、カード会社はネット等での不正利用監視を行っています。 私自身も以前にネット通販で不正購入された事がありますが、私が気づく前にカード会社から確認の電話がきて取り消しをしてもらった事があります。 PayPayだけでなく、大手のQR決済業者はこのような監視体制や、不正に気付かず決済されてしまうような事案への対応は整備されているのかが非常に気になります。

2つ目は利便性です。

PayPayを利用するための入金手段として銀行口座振込やカード等が選択できるようですが、ここでカードによる入金をした場合、カード→PayPay→お店で購入 という決済フローになってしまいクレカ購入と比べて二度手間です。

カードのポイントもその分貯まるのでメリットも一応あるのですが、キャッシュレス派の方たちはお得感だけでなく利便性を重視されている方が多いはずなのでメリットとしては弱いのではないでしょうか。

特に残念なのは、3万円以上利用する際に本人確認書類を提示するルールがあり、3万円を超える決済の場合は下手すると現金より手間なのではないかと思ってしまいました。 そういった意味で、カードの利便性に対抗できてないように感じます。

www.paypay-corp.co.jp

中国の例として挙げたように、普及させるためには、事業者だけではなく利用者も含めた相互メリットが欲しいところです。

今の所は一部ポイント還元等をメリットとしてはあげていますが、大半の利用者は決済金額も高く無いと思うのでカードと使い分ける程の決定的な理由としては弱いです。

今後クレカに勝る価値が提供されれば利用することになるとは思いますが、現時点ではまだ私個人の導入は時期尚早かなという印象です。

QR決済は大手がこぞって参入していきているアツイ分野ですが、決済という枠は非常に難易度も高く、競争も激しい産業でもあると思います。

これから新しいカタチのサービスが生まれてくることも期待できますし、競争の中でどの事業者が残るかはわかりません。

それでも確実に言えるのは、あらゆるお金のやりとりがキャッシュレス化していくという事です。